やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2025/08/12
インボイスの保存が不要となる「少額特例」の適用対象期間

[相談]

 私は、夫が営む個人事業の経理を担当しています。
 現在、インボイス制度では、一定規模の事業者については税込み1万円未満の課税仕入れについてインボイスの保存が不要となる「少額特例」という制度があるかと思いますが、その適用対象期間はいつまでなのでしょうか。教えてください。

[回答]

 ご相談の少額特例は、令和11年9月30日までの課税仕入れについて適用できることとなります。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.消費税法上の仕入税額控除の規定の適用を受けるための要件(原則)

 消費税の納付税額は、原則として、課税期間(※1)中の課税売上げに係る消費税額から、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算しますが、この「課税仕入れ等に係る消費税額を課税売上げに係る消費税額から控除すること」を、「仕入税額控除」といいます。

 なお、上記の仕入税額控除の規定は、原則として、事業者がその課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(インボイスや簡易インボイスなど)を保存しない場合には、その保存がない課税仕入れ等の税額については、適用しないと定められています。

※1 課税期間とは、個人事業者の場合、原則として1月1日から12月31日までの期間となります。

2.少額特例(請求書等の保存を要しない課税仕入れに関する経過措置)とは

 上記1.の仕入税額控除の規定の適用を受けるための要件については、経過措置として、@基準期間(※2)における課税売上高が1億円以下である課税期間、又は、Aその特定期間(※3)における課税売上高が5,000万円以下である課税期間のうち、事業者(消費税免税事業者を除きます)が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについては、その課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、帳簿のみの保存で、仕入税額控除の規定の適用を受けられると定められています。

 この経過措置がいわゆる「少額特例」です。

 したがって、ご相談の少額特例は、令和11年9月30日までの課税仕入れについて適用できることとなります(令和11年分の消費税について、令和11年10月1日から12月31日までの期間の課税仕入れについては少額特例は適用されませんので、ご注意ください)。

※2 基準期間とは、個人事業者についてはその年の前々年をいいます。

※3 特定期間とは、個人事業者についてはその年の前年1月1日から6月30日までの期間をいいます。

[参考]
消法2、9の2、19、30、平成28年改正消法附則53の2、平成30年改正消令附則24の2など

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